シーズン1 1-1 さっそくセリフが聞こえないんですが
こんにちは。トムです。いよいよ第1話が始まります。私見ですが、第1話の最初の方がスーパーナチュラルの中では結構難しめなのではないかと勝手に思っています。あとシーズン全体を通しても1話はかなりホラーっぽい。感じ方は人それぞれでしょうが、シーズン1では第1話と第3話がかなりホラーしていると思います。では見ていきましょう。
[22年前、カンザス州、ローレンス、ウィンチェスター家]
Mary: Come on, let’s say good night to your brother.(こっちに来て、弟にお休みを言いましょう。)
Dean: Night, Sam.(お休み、サム。)
Mary: Good night, love.(お休みなさい。)
John: Hey, Dean.(やあ、ディーン。)
Dean: Daddy.(父さん。)
John: Hey, buddy. Think Sammy’s ready to toss around a football?(おい。サミーはフットボールを投げられると思うか?)
Dean: No, Daddy.(無理だよ、父さん。)
John: No.(無理か。)
Mary: You got him?(ディーンを任せていい?)
John: I got him. Sweet dreams, Sam.(任されてるよ。いい夢を、サム。)
まずはお母さんがディーンにCome on「おいで」と言います。come onは雰囲気で何となく意味が分かる感じですが、これから何回も出てくるでしょうから、今のうちに辞書を引いてみました。『ウィズダム英和辞典(第4版)』では次のような訳語が載っています。
(1) 〚命令文で〛急げ;こっちに来い、ついて来い
(2) (…に)来い、おいで
(3) (励まして)さあ、がんばれ、その調子;元気を出せ;(慰めて)大丈夫だ、心配するな
(4) (直前の行動・発言に納得がいかなくて)おいおい、ちょっと、ばかなこと言うなよ、冗談じゃないよ
(5) (ねだって)お願いだよ、ねえ
(6) (聞き手を挑発して)さあ来い、どうした
辞書を引いて「そうか」と思ったのは、come onはふつうはonの方に強勢があるけれども、呼びかけの語句や副詞を伴うときにはonは無強勢になる、という記述です。ほかの辞書にも書いてありますが、意識したことがなかったので、これから意識してみようと思います。このシーンでは呼びかけや副詞を伴っていませんから、ふつうにonに強勢があるかな。少なくとも無強勢ではなさそうです。
ディーンのセリフ、Night, Sam.のnightはgood nightの略です。もちろん見ればわかりますが、「こう略せるんだー」と新鮮味を感じました。Good morningをMorningと略するのはよく聞くから、慣れの問題でしょうか。けどさらに考えるとGood eveningをEvening、Good afternoonをAfternoonと略すのはあまり聞かない気がします。実際はどうなのでしょうか?
ここでお父さん登場。buddyは呼びかけで「ねえ、君;おまえ」のような感じ。もちろん「相棒、仲間」という意味もありますが、呼びかけの場合は「相棒」の意味とは限らないですね。ここの場面では日本語にし辛いです。
さてこの後お父さんはディーンに何か言っています。英語字幕ではThink Sammy’s ready to toss around a football? ですが、明らかにその前に何か言っています。確信はありませんが、お父さんはまずWhat do you think?「どう思う?」と言っているように聞こえます。まず「どう思う?」と非常にアバウトに聞いていて、そのままでは何のことかわからないので、さらにDo you think Sammy’s ready to toss around a football?と聞いているのではないでしょうか。この部分は課題として残ります。
be ready to doは「~する準備ができている→~することができる」の意味。toss aroundは適切な訳を辞書では見つけられませんでした。tossは「~を投げる、~を放る」でaroundは「~の周り、~のあたり、あっちこっち」のようなイメージでしょう。toss aroundをネットで検索してみると、「あちらこちらに投げること」と説明していたり、何人かで輪になってボールを投げ合う遊びのことと書いてあったりしますが、とりあえず「一方向に投げるのではなく、いろいろな方向に投げる」という意味だと思います。全体は「サムはフットボールを投げられるかな?」という意味でしょう。
さて、ディーンは「無理だよ」と答えています。それに対してお父さんもNo.と繰り返しますが、ここのお父さんの笑いながらのNo.の言い方が個人的には気に入っています。
次のお母さんのYou got him?は文字通りには「ディーンを手に入れた・捕まえた?」ということでしょうが、「ディーンを捕まえた?なら任せていい?」という意味になるでしょう。そういうわけで「任せていい?」と訳してみました。字幕翻訳では「お願い」になっています。お父さんの答えはI got him.で「ディーンを捕まえたよ。だから任せろよ。」ということでしょう。
ただしここのセリフのgotは、have gotからhaveが落ちた形とも解釈できるかもしれません。よく話し言葉では完了のhaveが脱落します。have got = have「~を持っている」ですから、have got = got = haveとなる場合があることになります。そうだとすると、お母さん、お父さんのセリフはそれぞれ「ディーンを持っている?(なら任せていい?)」「持っているよ(任せろ)」で結局同じような意味になりますが。このような脱落現象は少し後の記事で言及します。
第1話冒頭、私的にはお父さんのセリフThink Sammy’s ready to toss around a football?のところとYou got him?のところはつまずきポイントが高いです。スパナチュで英語学習、続けていきましょう!
参照文献
井上永幸・赤野一郎 (編) (2018)『ウィズダム英和辞典』(第4版), 三省堂.
小林敏彦 (2017)『図解50の法則 口語英文法入門 』(再改定版), フォーイン スクリーンプレイ事業部.