スパナチュde英語:海外ドラマ「スーパーナチュラル」で英語学習

海外ドラマ「スーパーナチュラル」を使って単語・フレーズ・文法などを勉強していきます。「スパナチュ」のすべてのセリフの意味を確認していき、自分が難しいと思ったところを中心に解説します。「スパナチュ」を楽しみながら英語の勉強をしたいと思っている人の役に少しでも立てばと思います。

シーズン1 1-7 He’s working overtime on a Miller-time shift. (?)

こんにちは、トムです。スーパーナチュラルで英語の勉強をやっていきましょう。

 

Jessica: Just let me put something on.(何か着て来るわ。)

Dean: No, no. No, I wouldn’t dream of it. Seriously. I gotta borrow your boyfriend, talk about some private family business. So, nice meeting you. (いやいや。いや、必要ない。マジで。彼氏を借りて家族のことについて話さないと。なので、会えてよかったよ。)

Sam: No. No. Whatever you want to say, you can say it in front of her. (いや。だめだ。何を言うつもりにせよ、彼女の前で話せよ。)

Dean: Okay. Dad hasn’t been home in a few days. (分かった。親父が数日家にいない。)

Sam: He’s working overtime on a Miller-time shift. He’ll stumble back sooner or later.(親父はいっつも遅くまで飲んでるだろ。遅かれ早かれふらつきながら帰ってくるよ。)

Dean: Dad’s on a hunting trip. And he hasn’t been home in a few days.(親父は狩りに出てるんだ。そして数日家に戻っていないんだ。)

Sam: Jess, excuse us. We have to go outside.(ジェス、ごめん。外に行かないと。)

 

let O doは「Oに~させる」put on ~もしくはput ~ onで「~を着る」なので、let me put something onは「何か着させて」というわけです。

 

ディーンは「いやいや」と言ってI wouldn’t dream of it.と続きます。dream of ~は「~を夢見る、~を願う」で、今過去の話をしているわけではないので、wouldは控えめな推量「~だろう」の否定形かなと思います。「俺はそんなこと願わないだろう」というわけで、wouldn’t dream ofは「~は夢にも思わない」という訳語があてられることもあるようです。

 

wouldn’t dream of は一種のフレーズのようになっていて、Longman Contemporary English Dictionaryでは「used to say that you would never do something because you think it is bad or wrong」と定義されています。

 

さてdream of itのitは何を指すのでしょうか個人的には前文の内容であるジェシカが服を着させてと言っていることを指していて、「服を着させることは願わない→着てこなくていいよ」ということだと思います。そしてSeriously.「マジで(着てこなくていいよ)」と続けながらジェシカをガン見するディーン、という流れだと思います。日本語字幕では、「いや、手は出さない。マジで」、吹き替えでは「その心配はないよ。安心して」となっていますが、「着てくるのは願わない→着てこなくていいよ→だって手は出さないから。その心配がないよ。」というように、私訳をさらに意訳したものではないかなと考えています。

 

ディーンはgottaを使って「弟を借りないといけない」といいます。字幕ではsome family businessですが、familyの前にprivateと言っています。businessは「用事」の意味もありますから、「家族の私的な用事」があるということ。続けて字幕にないですがSo「というわけで」と言ったあと、「会えてよかったよ」と言って、ジェシカには家族の私的な要件を聞かせないことを示します。

 

もちろんサムはそんなことは許さず、ジェシカの前で話せと言います。複合関係代名詞whatever ~は「~することは何でも」または「何を・が~しようとも、~するにせよ」となります。whatever ~のカタマリが文の中で名詞(つまり主語や目的語)の働きをしていたら前者の用法、そうでなければ後者の用法になります。今回は後者の用法。Whatever you want to sayは「何を言いたいにせよ」です。whateverはsayの目的語としても機能しています。こういう形式的な文法のことは難しい気がするかもしれませんが、意識をしていたらすぐに慣れて、ほぼ無意識で処理できるようになります。こういう形式的なことよりも、よっぽど基本単語を使いこなす方が難しいというのが私の実感です。

 

さて、仕方なくディーンはジェシカの前で「親父が家にいない」と説明をはじめます。hasn’t been homeは現在完了形の継続の意味の否定で、「ずっと家にいない」という意味です。完了形のときには前置詞はforのことが多い気がしますが、ここではinが使われています。

 

次の文He’s working overtime on a Miller-time shift.は字幕によれば「また泥酔したのさ」です。Miller-timeの意味が肝ですが、ネットで検索すると、Millerとはアメリカ第2位のビール会社で、It’s Miller time.というキャッチフレーズのCMが有名だとか。そこからIt’s Miller time.は「ビールを飲む時間だ」となったようです。で、改めてMillerを辞書で見てみるとビール会社であることが書かれていました。work overtimeは「残業する」で、文全体の意味は「ビール時間シフトで残業している→遅くまで飲んでいる」になるのでしょう

 

いまひとつ確信が持てませんが、スパナチュのこの場面の意味が分からなかった英語学習者がネット上でこのセリフの意味を尋ねているのに対して、ネイティブと思しき人が「be on a binge(飲みすぎている)ということだよ」と回答していますので、意味的には間違っていないかと。また、この文は現在進行形になっていますが、これは「いつも~ばかりしている」という非難の気持ちが込められた進行形の使い方だと考えられます。よくThey are always arguing.「彼らはいつも口論ばかりしている」みたいな例で説明される用法です。サムにしてみれば「親父はいっつも遅くまで飲んでんじゃん。心配する必要ないよ。」と言いたいわけです。

 

stumbleは「ふらふら歩く」で、go back「帰る」のgoのかわりにstumbleを使ってstumble back「ふらつきながら帰る」と考えましょう。実際のセリフはstumble back inと言っているように聞こえます。inもつけてしまっていいのかと思いましたが、調べてみるとgo back inで「(場所を明示せずに)中に戻る」という意味で使えますから、stumble back inという表現もありうるわけです。

 

心配しようとしないサムに対して、お父さんはbe on a hunting trip「狩りに出ている」とディーンは説明します。be on a business tripだったら「出張に出ている」ですね。お父さんはただ単に家にいないのではなく、狩りに出たうえでしばらく戻っていないんだとディーンはサムに伝えます。

 

これを聞いたサムは顔色を変え、ディーンにジェシカの前で話せと言ったにもかかわらず、excuse usと言います。自分が中座するときはExcuse me.と言いますが、自分も含めて複数人中座するならExcuse us.となります。We have to go outside.は「外に行かないと」です。ディーンがhave toの意味でずっとくだけたgottaを使っていた一方で、サムはhave toを使うというのは、二人の性格の違いや発話の場面の違いが考慮されているのでしょうか?これからの場面も注意して見ていきましょう。

 

He’s working overtime on a Miller-time shift.の解釈は困ります。けれどとりあえずは納得できる解釈ができました。皆さんはどのように解釈しますか?解釈をするために考えたり調べたりするのも力になると思います。スパナチュを使って英語の勉強を続けましょう。

 

参照文献

吉波和彦・北村博一・上野隆男・本郷泰弘 (2011)『ブレイクスルー総合英語』(改訂2版), 美誠社.

鈴木陽一 (2000)『DUO 3.0』アイシーピー.

井上永幸赤野一郎 (編) (2018)『ウィズダム英和辞典』 (第4版), 三省堂.