スパナチュde英語:海外ドラマ「スーパーナチュラル」で英語学習

海外ドラマ「スーパーナチュラル」を使って単語・フレーズ・文法などを勉強していきます。「スパナチュ」のすべてのセリフの意味を確認していき、自分が難しいと思ったところを中心に解説します。「スパナチュ」を楽しみながら英語の勉強をしたいと思っている人の役に少しでも立てばと思います。

シーズン1 1-10  I hadn’t heard from him since, which is bad enough.

こんにちは。海外ドラマ「スーパーナチュラル」で英語の勉強を続けます。前回とりあえずディーンの話を聞く気になったサム。「親父は何を狩っていたんだ?」と聞いた、その続きです。

 

Dean: All right. Let’s see. Where the hell did I put that thing? (よし。ええーっと。あれはどこに置いたかな?)

Sam: So when Dad left, why didn’t you go with him? (で、親父が出てったとき、なんで一緒に行かなかったんだ?)

Dean: I was working my own gig. This voodoo thing down in New Orleans. (自分の仕事をしてたんだよ。New Orleansで、ブードゥーの仕事さ。)

Sam: Dad let you go on a hunting trip by yourself? (親父は一人で狩りに行くのを許したのか?)

Dean: I’m 26, dude. All right. Here we go. So Dad was checking out this Two-Lane Blacktop outside of Jericho, California. About a month ago, this guy. They found his car, but he’d vanished. Completely MIA. (俺は26だぞ。よし。あったぞ。んで、親父はCaliforniaのJericho郊外、この2車線道路を調べてたんだ。約1か月前、この男だ。警察はこの男の車を見つけたが、彼は消えていた。完全に消息不明さ。)

Sam: So maybe he was kidnapped. (じゃあ、誘拐されたのかも。)

Dean: Yeah, well. Here’s another one in April. Another one in December ’04, ’03, ’98, ’92. Ten of them over the past 20 years. All men, all the same five-mile stretch of road. It started happening more and more, so Dad went to go dig around. That was about three weeks ago. I hadn’t heard from him since, which is bad enough. Then I get this voicemail yesterday. (ああ、どうかな。4月に別の失踪者もいる。2004年の12月にも、2003年、98年、92年にも。20年で10人。全員男で、すべて同じ道路の5マイルの範囲。より頻繁に起こり始めたので、親父は調べに行ったんだ。それが3週間前の話。以来音沙汰なかったわけだが、十分まずいことだろ。そして昨日このボイスメールをもらったんだ。)

 

さて、とりあえず話を聞く気になったサムに対し、ディーンは説明をはじめようとして資料を探します。Where the hell did I put that thing? 「あれはどこに置いたかな?」のthe hellは疑問の強調です。What the hell are you doing here?のところでも出てきました。

 

資料を探しているディーンにサムは「どうして親父と一緒に行かなかったのか」と質問します。ディーンの答えは、I was working my own gig. で、gigは「(音楽などの)ライブ、ギグ:[くだけて] 仕事」と言う意味。「自分自身の仕事をしていた」といい、仕事の中身はvoodoo「ブードゥー教のことであると言います。ブードゥー教西インド諸島アメリカ南部の原始的宗教だそうです。高校生のとき多読でVoodoo Islandという本を読まされたことだけは覚えています。

 

Dad let you go on a hunting trip by yourself? 「親父は一人で狩りに行くのを許したのか?」で、let O do「Oに~させる」は必ず使えるようにならないといけない表現です。「親父が許したのか?」と聞くぐらいなので、昔は一人で狩りなんて許してもらえてなかったわけですが、「俺は26だぞ」、お前が大学に行っていた間に独り立ちしたんだよ、という感じです。

 

ディーンによると、Dad was checking out this Two-Lane Blacktop outside of Jericho, California. で、check outは「~を調べる」two-laneは「2車線の」blacktopは「アスファルトで舗装された道路」の意味。Two-Lane Blacktop がなぜ固有名詞的に使われているのか確信はありませんが、Two-Lane Blacktop という有名な映画があるようです(日本語の題名は『断絶』)。この映画はカリフォルニア州の国道66号で主人公たちがヒッチハイカーの少女を乗せることから話が動くようです。スパナチュのこの場面で言及されているのもカリフォルニア州の道路です。よってTwo-Lane Blacktopで66号線を指している可能性はあります。ただ、66号線は廃線になっていて、またジェリコネバダ郡のジェリコだとすると、66号線からは遠すぎます。はたしてディーンはどんな意味で使ったのでしょうか?ともかくお父さんはジェリコ郊外の2車線道路を調べていたようです。

 

約1か月前に男がいたのですが、They found his car, but he’d vanished.「彼らは彼の車を見つけたが、彼は消えてしまっていた」 ということ。theyはこの場面では「警官たち」vanishは「消える」です。he’d vanishedは過去完了形で、過去の時点までの完了・継続・経験などを表し、この場合は車を見つけた時点で「すでに消えてしまっていた」ということ。 MIAはMissing in Actionのことで「作戦行動中行方不明」とか「戦闘中行方不明」の意味。よく戦争映画やロボットアニメで登場人物がMIAになります。

 

行方不明なら誘拐されたのかもと言うサム。kidnapは「~を誘拐する」です。名詞は同じ形のkidnapまたはkidnapping。代表的な犯罪は名前を知っているといいでしょう。新聞やニュースでも見ますので。

 

ディーンは別の失踪者がいることをサムに伝えます。ここ20年で10人いて、All men, all the same five-mile stretch of road.と続けます。「全員男で、すべて同じ道路の5マイルの範囲」だということです。stretchは日本語で筋を伸ばすことをストレッチと言うように、「~を伸ばす、伸びる」という意味があり、そこから「広がり」という意味にもなります。five-mile stretch of road「道路の5マイルの広がり」とは、「道路の5マイルの範囲」ということでしょう。

 

It started happening more and more「ますます多く起こり始めた」のでDad went to go dig around「親父は調べに行った」です。「比較級 and 比較級」で「ますます~」digは「~を掘る」なので、dig aroundで「あちこちを掘る→探し回る、あちこち探りを入れる」という意味。そしてそれが3週間前のことであると言います。went to goとgoが2回続くことに何か特別な意味があるのだろうかと思いましたが、あまり気にしないことにしました。

 

次はI hadn’t heard from him since. という文。I hadn’t heard from him sinceはhad+過去分詞なので過去完了形過去のある時点までに完了・継続・経験したことを表すので、「調べに出て以来親父から(過去のある時点まで)音沙汰はなかった」ということ。次のセリフで分かりますが、過去のある時点とは「昨日」のことです。

 

, which is bad enoughはどうでしょう。これは非制限用法(継続用法)の関係代名詞whichが前の文を先行詞にとっている用法前の文の内容に情報を追加する用法です。「そしてそれは十分にひどいことだ」という意味です。もう少し例を見てみましょう。下線部をwhich以下が追加的に説明しています。スパナチュのセリフとももう一度比べてみてください。

 

He said he was married, which was true.

(彼は結婚していると言ったが、それは本当だった)

She tried to break into the bank, which was impossible.

(彼女は銀行へ侵入しようとしたが、それは不可能だった)

I hadn’t heard from him since, which is bad enough.

(以来音沙汰なかったわけだが、十分まずいことだろ)

 

前の文の一部、もしくは全体に補足情報を加えています。文法の時間ではこの項目までしっかりやる時間がないことが多いのですが、意外にも会話には普通に出てきます。

 

そして、音沙汰がなかったけれどI get this voicemail yesterday.「昨日このボイスメールをもらったんだ」となります。さあ、どのようなボイスメールだったのでしょうか?

 

いかがでしょう。過去完了形、比較級 and 比較級、非制限用法の関係対名詞whichのように文法用語が出るとやたら難しい気がします。けれども、それぞれが何を意味しているのか、どういう使い方をしているのかが、セリフを見るとよくわかります。実際に使われている場面を意識しながら、少しずつ覚えていきたいものです。海外ドラマで、そしてスパナチュで勉強するのは役に立ちますね。

 

参照文献

井上永幸赤野一郎 (編) (2018)『ウィズダム英和辞典』(第4版), 三省堂.

鈴木希明 (編著) (2008)『高校総合英語Harvest』(第3版), 桐原書店.