シーズン1 1-11 We’re all in danger. 危険の中にいるのだ
こんにちは。海外ドラマ「スーパーナチュラル」で英語の勉強を続けます。音沙汰がなかったお父さんからボイスメールを受け取ったディーン。その内容はなんなのでしょうか?
John: Dean. Something is starting to happen. I think it’s serious. I need to try to find out what’s going on. Be very careful, Dean. We’re all in danger. (ディーン。何かが起こり始めている。多分深刻だ。何が起こっているか突き止めてみる必要がある。十分用心しろ、ディーン。全員が危険な状況だ。)
Sam: You know there’s E.V.P. on that?(EVPが入ってるの気づいたか?)
Dean: Not bad, Sammy. Kind of like riding a bike, isn’t it? All right. I slowed the message down and ran it through a Goldwave, took out the hiss and this is what I got. (悪くねえぞ、サミー。自転車乗るのと同じだな?よし。メッセージをスローにしてGoldwaveを通して雑音を取り除いて得られたのがこれだ。)
Woman: I can never go home. (家に帰れない。)
Sam: Never go home. (家に帰れない。)
Dean: In almost two years, I’ve never bothered you, never asked you for a thing. (この約2年の間、一度もお前の邪魔はしなかったし、一度も頼みごとをしなかった。)
Sam: All right. I’ll go. I’ll help you find him. But I have to get back first thing Monday. Just wait here. (わかった。行くよ。親父を探すのを手伝う。けど、月曜一番に戻らないと。ここで待ってて。)
Dean: What’s first thing Monday? (月曜一番に何が?)
Sam: I have this… I have an interview. (この…面接がある。)
Dean: What, a job interview? Skip it. (何だって、仕事の面接か?さぼれよ。)
Sam: It’s a law school interview and it’s my whole future on a plate. (ロースクールの面接だ。で、僕の将来がかかってる。)
Dean: Law school?(ロースクール?)
Sam: So we got a deal or not? (で、取引成立?)
ボイスメールは非常に音の悪い状態です。お父さんは何か深刻なことが起こり始めていると言います。what’s going onのwhatは関係代名詞で「もの・こと」くらいの意味。どのような「こと」かというと、is going on「今起こっている」ことです。go onはこの場面では「起こる」で、しばしば進行形で使います。There is something going on outside.「何かが外で起こっている」のような使い方です。
十分に用心しろ、We’re all in danger.「全員が危険な状況だ」というわけです。be in dangerは「危険の中にいる」という直訳でも十分通じます。もう少し訳を調整すると、「危険な状況にいる、危険である」です。日本語でも英語でも中、inを使うのは興味深いですね。be in trouble「困っている」、be in love「恋をしている」など、同じような使い方はたくさんあります。これらもトラブルの最中、恋愛中など、日本語と英語の発想が同じみたいですね。
ボイスメールが終わると、サムはYou know there’s E.V.P. on that?「EVPが入っているのに気づいたか?」と言います。EVPはelectronic voice phenomenonの略で、「電子音声現象」と訳されるそうです。このEVPは、死後の世界との交信の音であると考える研究があるようです。スパナチュの世界では、EVPは実際に霊的現象を捉えるために機能しています。
EVPの話を持ち出したサムに対し、Not bad, Sammy. Kind of like riding a bike, isn’t it? 「悪くねえぞ、サミー。自転車に乗るようなものだな?」とディーンは言います。kind of ~もlikeも「~のような、~みたいな」と少しぼかす表現ですが、ほとんど意味がないこともあります。さて、自転車は一度乗れるようになっていると、何年も乗らなくてもすぐに勘を取り戻し、乗れるようになります。それと同じで、すぐにEVPに気が付いて、狩りの勘を取り戻してきたなと言いたいわけです。
I slowed the message down and ran it through a GoldwaveのGoldwaveは実在するオーディオ編集ソフト。run A through Bは直訳すれば「Aを走らせてBを通り抜けさせる」でしょうが、「AをB(ソフトなど)にかける」という意味で使われます。「メッセージをGoldwaveにかけた」わけですね。そのあとのtake outは「~を取り出す」、hissは「シューという音や声、歯擦音」です。this is what I gotは「これが俺の得たものだ」で、また関係代名詞のwhatが出ています。
得られた音声はI can never go home.「家に帰れない」で、サムもこの言葉を繰り返します。ディーンは「この2年間お前の邪魔はしなかったし、頼み事も一度もしなかっただろ」と言います。ここでセリフは終わっていますが、明らかに「だから今、一回くらい俺の頼みを聞け」と言いたいわけです。ここのセリフではbother「~を邪魔する、~を困らせる」、ask A for B「AにBを頼む」が大事です。
ここで観念したサムは「手伝うよ」と言いますが、「月曜朝一で帰らないと」と条件を付けます。first thingは口語では「最初に、まず第一に」というような副詞的な使い方があります。I’ll call you first thing in the morning.「朝一番にあなたに電話します」やI’ll do it first thing Monday morning.「月曜朝一番にそれをします」のように、使えそうな場面が多いですね。
「月曜の朝一番に何がある?」というディーンに対し、面接があると答えるサム。ディーンはSkip itと言います。skipは「スキップする」と言いますが、「~を省く、~を休む」という意味もあります。skip breakfastで「朝食を抜く」、skip schoolやskip class(es)で「学校・授業をさぼる」というように使います。「面接なんて休め」と、結構無責任なことを言います。
サムはIt’s a law school interview「ロースクールの面接なんだ」と言い、it’s my whole future on a plate. と続けます。「それ(面接)がプレートの上の僕の未来のすべて」というわけなので、「それに僕の将来がかかっている」ということでしょう。plateと言えば、have a lot on one’s plate「悩み・仕事をたくさん抱えている」もよく出る表現です。
最後にwe got a deal or not? とサムが言うわけですが、dealはこの場合は「取引、契約」の意味で、くだけた言い方ではhave a deal「取引・契約をもつ」で「同意する」の意味になります。Did we agree or not? 「同意する?それても反対?」と言うのと同じわけです。dealの元の意味をいかすなら「取引成立?それとも不成立?」といった感じでしょう。
さて、たまたまかもしれませんが、今までに出てきた関係代名詞はwhat、そして非制限用法で前の文の全体(または一部)を追加で説明するwhichの2つです。文法で関係代名詞を勉強するときには後回しになりがちな部分です。しかし、第1話ではまずこのような使い方から出てきました。文法の基本はもちろん大事ですが、どこまでやるべきなのか、どこからが重箱の隅なのか、ドラマなど生の教材で勉強すると見えてくるものがあるかもしれません。やはりスパナチュは役に立つので、スパナチュで英語の勉強を続けていきましょう。
参照文献