スパナチュde英語:海外ドラマ「スーパーナチュラル」で英語学習

海外ドラマ「スーパーナチュラル」を使って単語・フレーズ・文法などを勉強していきます。「スパナチュ」のすべてのセリフの意味を確認していき、自分が難しいと思ったところを中心に解説します。「スパナチュ」を楽しみながら英語の勉強をしたいと思っている人の役に少しでも立てばと思います。

シーズン1 1-15  You fellas had another one like this... 日本語訳はできても逆は無理

こんにちは。海外ドラマ「スーパーナチュラル」を見ながら英語の勉強を続けていきます。サムとディーンが車でジェリコに向かっているところです。

 

[電話をしているサム]

Sam: Thank you. [電話を切る] There’s no one matching Dad at the hospital or morgue. So that’s something I guess.(どうも。病院や死体公示所には親父に該当するのはなかった。とりあえずいいことだと思うけど。)

Dean: Check it out. Let’s go.(見てみろよ。行こう。)

 

[警官たちが事件現場を調べている]

Man: You guys find anything?(何か見つけたか?)

Man: No! Nothing!(いや!何も!)

Man: No sign of struggle. No footprints. No fingerprints. It’s spotless. It’s almost too clean.(争った跡はない。足跡もない。指紋もない。染み1つなし。きれいすぎるくらいだ。)

Man: So this kid Troy was dating your daughter?(で、この子、トロイは娘さんと付き合ってた?)

Man: Yeah.(ああ。)

Man: How’s Amy doing?(エイミーはどうしてる?)

Man: Putting up missing posters downtown.(中心街で行方不明のポスターを張ってる。)

Dean: You fellas had another one like this just last month, didn’t you?(これと同じような事件がちょうど先月なかったか?)

Man: And who are you?(で、君たちはだれだ?)

Dean: Federal marshals.連邦保安官。)

Man: You’re a little young for marshals, aren’t you?(保安官にしてはちょっと若すぎないか?)

Dean: Thanks. That’s awfully kind of you. You did have another one like this, correct?(どうも。本当にご親切に。これと似たのがあったよな?)

Man: That’s right. About a mile up the road. There have been others before that.(ああ。道路を1マイルほどのところだ。それ以前にもあったようだ。)

Sam: So this victim… you knew him?(で、その犠牲者…知り合いですか?)

Man: Town like this, everybody knows everybody.(こんな街だ、みんな知り合いさ。)

 

サムは電話を切った後、There’s no one matching Dad「親父にマッチする人はいない」といいます。morgueは「死体公示所」That’s somethingは話し言葉で「それは良かった、不幸中の幸いだ、それは大したことだ」のような意味があるようです。

 

そうこう話していると、橋に警官が集まっているのが見えます。ディーンはCheck it out.「見てみろよ」と言います。check O outは「~を調べる」の意味がありますが、ここでは発話のタイミングなどを考えると「調べろよ」ではおかしい気がしますcheck O outには主にアメリカの口語で「~に注目する」という意味があるようなので、ここはその意味でしょう。Oが代名詞でなくただの名詞ならcheck out Oの語順にもなりえます。

 

警官たちは何も見つけていないようで、No sign of struggle. No footprints. No fingerprints.「争った跡なし。足跡なし。指紋なし。」で、It’s spotless. It’s almost too clean.「染み1つなし。きれいすぎるくらいだ。」と言っています。たしか血をぶちまけていたはずですが、何も残っていないようですね。超常現象です。struggleは「奮闘する、もみ合う、格闘する」という意味の動詞と、それらの名詞の意味を持っています。spotが「染み」なのでspotlessは「染みのない」です。

 

警官の娘エイミーとトロイは付き合っていたようで、エイミーはどうしているかと別の警官が聞きます。Putting up missing posters downtown.「中心街で行方不明のポスターを張っている」はShe isが省かれた形put O upは「~を上に置く→(掲示など)を貼り出す」の意味になります。Oが代名詞でなければput up Oの形にもなります。missingはMIAのときにも出てきました。

 

警官が話しているところへディーンがずかずか割り込みます。fellaはfellowのくだけた言い方で、「男、やつ」などの意味ですが、あまり意味のない呼びかけとして使われることも。You guys…というのと同じようなものかと。another one like this「これと同じようなもう1つ別のこと→これと同じような別の事件」がjust last month「ちょうど先月」になかったかと聞きます。日本語では「事件があったか」ですが、英語では「あんたらは事件を持っていたか (had)」となっていますよく日本語と英語の違いとして、日本語はbe言語、英語はhave言語であると言われます。beは「ある、いる」でhaveは「持っている」ですね。日本語で「部屋にドアが2つある」は、英語ではThe room has two doors.と表現する傾向があったり、「彼には子供が2人いる」をHe has two kids.と言ったりするわけです。この違いを意識しておくと、英語らしい表現に気がつけることがあります。警官に向かって「別のやつがあっただろ」をYou had another one.と英訳できた素敵すぎです。

 

さて、警官からすれば当然「誰だお前たちは?」となりますが、ディーンは連邦保安官を名乗ります。federal「連邦の」marshal「保安官」ですね。警官は「若すぎないか?」ということで疑いますが、ディーンはThanks. That’s awfully kind of you. 「どうも。ものすごく親切なことで。」と言って受け流します。日本語字幕では「おだてるなよ」となっていて、やはりうまいですよね。awfullyは「ものすごく」です。

 

You did have another one like this, correct?のdidは強調のdidで、一応は助動詞なので後ろの動詞は原形にします。 すでにこの質問はYou had another one…の形で1度していました。警官はそれにまだ答えていないので、ディーンは強調したのだと思われます。警官は「道路を1マイルほどのところだ」と答えて、There have been others before that.と続けます。there is/areなら「~がある」で、ここでは完了形なので、「それ以前にも継続していくつかあった」と述べています。othersは「(複数の)別の(もの)」です。ちなみにanotherはan otherが縮まってanother「もう1つの別の(もの)」です。before thatのthatは1か月前の事件のことを指すので、本当であれば過去完了形の方がいわゆる文法的なのでしょうが、話し言葉(に限りませんが)では、過去の時点に話し手が入り込み、過去時制が現在時制にかわることはよくあるようです。ここもそうなのではと考えていますがどうでしょう。

 

サムは「その犠牲者…知り合いでしたか?」と聞きます。victimは「犠牲者」で、警官はTown like this, everybody knows everybody.「こんな街だ、みんな知り合いさ」と答えます。everybody knows everybodyは直訳の日本語「みんながみんなを知っている」から考えると何やらしゃれた言い回しに聞こえますが、英語的には普通の言い方なのでしょうか?気になります。

 

さて今回は語彙や文法ではあまり難しくありませんでした。また辞書に載っていないような慣用表現もありませんでした。しかし、英語らしい表現とはなにかを考えさせられるセリフが少しありました。「スパナチュ」で英語の勉強をするのは、やはり役に立ちます。

 

参照文献

安藤貞雄 (2005)『現代英文法講義』開拓社.

井上永幸赤野一郎 (編) (2018)『ウィズダム英和辞典』(第4版), 三省堂.

南出康世 (編) (2014)『ジーニアス英和辞典』(第5版), 大修館書店.