シーズン1 1-5 Crash and burn. 墜落炎上
こんにちは。トムです。スーパーナチュラルでナチュラルな英語の勉強を続けましょう(^^) だんだんペースが上がってきた気がします。
Man: How’s it feel to be the golden boy of the family?(家族に期待されるのはどんな気分だ?)
Sam: They don’t know. (家族は知らないんだ。)
Man: They don’t know? I would be gloating. Why not? (知らない?笑っちまうぞ。なんで知らない?)
Sam: Because we’re not exactly the Bradys.(僕たち仲良し家族じゃないから。)
Man: And I’m not exactly the Huxtables. More shots. (俺んとこも仲良し家族じゃねえよ。もっと飲むぞ。)
Jessica: No. (いや。)
Sam: No. No. No.(いらない。)
Jessica: Seriously, I’m proud of you. You’re gonna knock them dead and get that full ride. I know it. (マジな話、誇りに思うわ。月曜は面接官をうならせて、奨学金を手に入れるわ。知ってるもの。)
Sam: What would I do without you?(君がいなかったら僕はどうするだろう?)
Jessica: Crash and burn. (墜落して炎上するでしょうね。)
How’s it feel to be the golden boy of the family? の部分は、肯定文の形をまず考えます。肯定形はIt feels 形容詞 to do…という形で、「…することが [形容詞] に感じられる」という意味です。Itは仮主語で、to do…が本来の主語のようです。feelの主語に人以外がきていいのだろうかと思いましたが、辞書にも載っている形です。以下は『ウィズダム英和辞典』の記載です(一部表記法を変えている個所があります)。
it feels (to A) C to do/doing …することが(A〈人〉に)Cと感じられる、思われる
How does it feel (to you) to be [being] famous?
≒What does it feel like to be [being] famous?
≒How does it make you feel to be famous?
(有名になるというのはどんな感じですか?)
というわけで、セリフの意味は「家族のゴールデンボーイであるというのはどんな感じですか?」となります。golden boy [girl] は「人気者、将来性のある人」。直訳ではかなり不自然なので、かなり意訳して「家族に期待されるのはどんな気分だ?」としておきました。
友達の質問に対してサムは「家族は知らない」と答えます。友達も驚いて「知らないの?」といい、I would be gloating.と続きます。ここは日本語字幕でも吹き替えでも表現されていないようです。正直困りました。gloatは『ジーニアス英和辞典』では「〔自分の成功などを〕満足して眺める;〔他人の失敗などを〕いい気味だと思って眺める」とあり、『ウィズダム英和辞典』には「ほくそえむ」という意味が出ています。また『ジーニアス英和辞典』では、wouldはwould be doingの型でも用いられ、未来に言及することがあるとあります。サムは前途洋洋ですが、そんなサムに家族と疎遠という思わぬ傷がありそうだということで、「え?家族が知らない?そんな問題を抱えていたなんて、俺、笑っちまうかもしれないぞ」と冗談で言っているのかなと解釈しています。
友達のWhy not?「なんで知らないの?」に対して、サムは「僕たちBrady家じゃないから」と答えます。例えばSmithはスミスさんで、the Smithsはスミスさん一家になります。家族は複数人なので複数形になり、家族はまとまりをなすので、まとまりを表すtheがつきます。the Bradysは「ブレディ一家」ですね。どうもこのthe BradyはThe Brady Bunchというアメリカのコメディードラマの主役一家のようです。
日本でも放送され、その題名が『ゆかいなブレディ一家』で、日本語版wikipediaによれば「お互いに子持ち再婚同士が結婚して織りなす、楽しく愉快な家族生活を描くホームコメディー。明るく賑やかな一家が巻き起こす姿がお茶の間をクギヅケにした」ということで、きっと仲良し一家の代名詞なのでしょう。なのでサムが言いたいことは「僕たち仲良し家族じゃないから」ということ。
友達はそれに対して「俺んとこもHuxtable家じゃねえよ」と返しますが、このHuxtable家もアメリカのコメディードラマThe Cosby Showの主役一家で、仲良し家族の代名詞のようです。結局、友達の方も「俺んとこも仲良し家族じゃねえよ」と言っているわけです。
More shots.のshotは「(酒)一杯」。「もっと飲むぞ」と言っています。
サムと二人になってジェシカはSeriouslyと言って話し始めます。seriouslyは「真面目に、真剣に、マジで」の意味もありますが、文頭に置かれるとふつうは文修飾の意味になり、「真面目な話だけど、真面目に言うと」という意味になります。雰囲気を考慮すると「マジな話、マジでさ」という感じでしょうか。そしてマジで何を言うかというとI’m proud of you.「あなたは私の誇りよ」で、お熱いですねと。キスまで始めるし。
次のknock them dead のknock A deadは「Aを感動させる・うならせる」という意味。themは面接のときにいる人たち、すなわち面接官だと考えられます。「月曜には面接官をうならせて、奨学金を手に入れるわ。」と言ってそのあとにI know it.「私、それを知っているの」と続きます。未来の出来事を知っている、ということは、要は「確実よ」と言いたいわけです。
ジェシカからの熱い声援を受けたサムはWhat would I do without you?と質問します。wouldは仮定法です。助動詞の過去形を見たら、それは過去の意味ではなく仮定法の場合がほとんどだ、とはよく言われることです。without~は「もし~がなかったとしたら」というまるでif節のような役割をすることがあります。ここは「(仮の話だけど)君がいなかったら僕はどうするだろう?」という現在の事実に反する仮定を表す仮定法過去の解釈でいいと思います。ジェシカがいない現実なんて、今のサムには考えられないわけです。
ジェシカの答えはCrash and burn. もちろん流れからこれは命令形ではなく、主語と助動詞(would)が省略された形でしょう。「(もし私がいなかったら)墜落して炎上するでしょうね」ということで、日本語字幕では「破滅ね」、吹き替えでは「死んじゃうわね」となっています。
正直言うと、I would be gloating.は違う意味かもしれません。思うところがあればぜひコメント下さいませ。何にせよ、スパナチュの英語、勉強になりますね。
参照文献
井上永幸・赤野一郎 (編) (2018)『ウィズダム英和辞典』 (第4版), 三省堂.
南出康世 (編) (2014)『ジーニアス英和辞典』(第5版), 大修館書店.