スパナチュde英語:海外ドラマ「スーパーナチュラル」で英語学習

海外ドラマ「スーパーナチュラル」を使って単語・フレーズ・文法などを勉強していきます。「スパナチュ」のすべてのセリフの意味を確認していき、自分が難しいと思ったところを中心に解説します。「スパナチュ」を楽しみながら英語の勉強をしたいと思っている人の役に少しでも立てばと思います。

シーズン1 1-4 It better.ってなんじゃい?

こんにちは。トムです。スーパーナチュラルを使って英語の勉強を続けます。少しずつ一回で進むペースが速くなればいいなと思います。ちなみに私はDVDを買ってパソコンで見ています繰り返し聴きたい場所などにかなり思い通りに戻れたり、英語字幕が付いていたりするからです。みなさんはどうやってスパナチュを勉強に使っていますか?自分がストレスを感じない方法で見ましょう。さて、セリフを見ていきましょう。

 

Jessica: So here’s to Sam and his awesome LSAT victory. (じゃあ、サムとLSAT合格に乾杯。)

Sam: It’s not that big deal. (そんなにたいそうなことじゃないよ。)

Jessica: He acts all humble, but he scored a 174. (彼、謙虚にふるまっているけど、174点取ったのよ。)

Man: Is that good?(それっていいの?)

Jessica: Scary good. (超すごい。)

Man: So there you go. You are a first-round draft pick. You can go to any law school you want. (へえ、すごいぞ。ドラフト一位指名なわけだ。行きたいロースクールにどこでもいけるな。)

Sam: I got an interview here, Monday. If it goes okay, I think I got a shot at a full ride next year. (月曜にここで面接があるんだ。もしそれがうまくいけば、来年は奨学金がもらえるかも。)

Jessica: Hey. It’s gonna go great. (ねえ。きっとうまくいく。)

Sam: It better.(そうかな。)

 

Here’s to ~!で「~に乾杯!」という意味です。~の部分には人やコトがきます。

 

Here’s to you!(君に乾杯!)

Here’s to your future!(君の将来に乾杯!)

 

awesomeはくだけた表現で、「すごい」という意味です。雰囲気としては「すっごい」とか「すんごい」という感じでしょうか。まえに同僚にオサムさんという方がいて、英語話者に自分の名前を教えるときに「オサムはawesomeと覚えてね」と言っていたのが印象的です。

 

さてLSATはLaw School Admission Testの略称で、「米国法科大学院適性試験」などと訳されるようです。サムはこの試験に勝利し、そのお祝いもかねて今パーティーで乾杯しています。

 

乾杯されたサムはIt’s not that big deal. 「そんなに大したことじゃない」と謙遜します。dealはトランプ大統領の大好きな「取引」の意味がありますが、「もの・こと」という意味もあり、big deal「たいしたもの、大人物」という形でよく使われます。thatは前の文脈を指して「そんな」という意味で、soやsuchに似た感じがあります。恥ずかしながら、このような使い方はドラマや映画で勉強して初めて知りました。それまではthatは「あの」でしかありませんでしたから。It’s no big deal.「大したことじゃない」What’s the big deal?「何が大したことなの?→大したことじゃないだろ」のフレーズでよく使うようです(『ネイティブが本気で教える超・リアル英語フレーズ360』)。

 

humbleは「謙虚な」で、allはhumbleの強調です。サムは174点を取り、ジェシカに言わせるとそれはscary goodです。scaryは「恐ろしい」ですので、scary goodは「恐ろしいくらい良い→超すごい」です。

 

サムたちの友人の男性はSo, there you go.とまず言います。there you goがどういう意味なのかはっきりしませんが、私が持っている辞書の中では『ウィズダム英和辞典』が一番詳しく書いてありました。いちばん基本的な用法はthere you areと同じ意味で「どうぞ」のようですが、「それでいいんだ;その調子」という意味もあるようで、これがこの場面ではしっくりくると思います。there you goは日本語字幕では訳されていませんが、吹き替えでは「やったな」となっていますから、「その調子、いいぞー」という意味を吹き替え翻訳の方も選ばれたのかなと。さてfirst-roundは「一巡目の」draft pickは「ドラフト指名選手ですから、You are a first-round draft pick.は「おまえはドラフト一位指名選手(のように優秀)だ」ということで、だから自分の思い通りのロースクールに行けると言っています。

 

それに対してサムはまずActuallyと言います(字幕にはありません)。actually「実際は、実は」は主に相手にとって意外なこと、嫌なこと、知らないと思われることを導入するときに使います。なので日本語の「実際」と同じ気持ちで多用しない方がいいとどこかで見た記憶があります。

 

さて、「実は(言ってなかったけど)」のあとに「月曜に面接がある」というわけです。If it goes okay「うまくいけば」の次I got a shot at a full ride next yearですが、日本語字幕では「来年から奨学金だ」となっています。どうもそんな感じの意味のようですが、その意味はどこから来るのでしょうか。

 

とりあえずhave a shot at ~で「~する見込みがある」という意味があり、ネイティブがよく使う表現のようです(『ネイティブが本気で教える超・リアル英語フレーズ360』)。rideはgive me a ride「車に乗せてください」のように「乗ること・乗せること」です。アルク英辞郎で調べるとrideは「(ただで)車に乗せること」とわざわざ「ただで」を含めた訳も載せています。というわけで、have a shot at a full ride next yearは「来年完全にただ乗りできる見込みがある→来年から奨学金だ」という意味になるのだと思います。

 

しかしさらなる問題は動詞がgotだということです。なぜ未来のことに過去形?となってしまいました。予想ですが、ここはhave gotのhaveが省略されているのではないでしょうかhave gotはhaveと同じ意味で使われます。そして口語では完了形のhaveはしばしば省略されます(『口語英文法入門(再改定版)』)。ということはgotだけでhaveと同じ意味で使われることがあるということになるのではと思います。ここではI got a shotはI have a shotとして使われているとすると、矛盾なく解釈できると思うのです。have gotのhaveの省略は前にも出てきました。You got him?(任せていい?)― I got him.(任せろ)のところですね。

 

nishitomohate.hatenablog.com

ジェシカはIt’s gonna go great. 「うまくいく」と言います。gonnaはgoing toの短縮した形です。それに対してサムはIt better.と言います。辞書にはフレーズとして発見できなかったので、日本語字幕を頼りに解釈してみます。字幕では「そうかな」と控えめな態度をあらわす訳になっています。先ほど完了形のhaveが口語ではよく省略されることを紹介しましたが、同じ本によれば、第二文型のbe動詞も口語では省略されることが多いようです。よってIt better.はIt is better.のことであり、Itは前の文「うまくいく」を指していると思います。するとIt better.は「うまくいくことはbetterだ」という直訳になり、何よりbetterかという部分を想像で補うと「自分が思っているより」になると思います。結局のところ、It better.は「うまくいくことは(自分が思っているより)よいことだ」となり、「自分はそこまでうまくいくとは思っていない→そうかな」となるのだと考えます。あるいは、It would be better.の省略かもしれませんね。

I got a shot at a full ride next year.やIt better.の解釈があっているかは分かりませんが、ひとまず納得しましたので、次に進むことにします。スパナチュ、というか自然な英語って簡単じゃないですねえ…

 

参照文献

井上永幸, 赤野一郎 () (2018)ウィズダム英和辞典 』(第4版), 三省堂.

小林敏彦 (2017)『図解50の法則 口語英文法入門 』(再改訂版), フォーイン スクリーンプレイ事業部.

ニコラス・ウォーカー, ロゴポート () (2017) 『ネイティブが本気で教える超・リアル英語フレーズ360』 テイエス企画.