スパナチュde英語:海外ドラマ「スーパーナチュラル」で英語学習

海外ドラマ「スーパーナチュラル」を使って単語・フレーズ・文法などを勉強していきます。「スパナチュ」のすべてのセリフの意味を確認していき、自分が難しいと思ったところを中心に解説します。「スパナチュ」を楽しみながら英語の勉強をしたいと思っている人の役に少しでも立てばと思います。

シーズン1 1-6 You scared the crap out of me.  …ん?クソをおどかしたのか?

こんにちは、トムです。スーパーナチュラルで英語の勉強を続けましょう。今回はディーンが登場。サムとディーンの2人がいてこそのスパナチュです。

 

[サムとジェシカの住むアパート 夜中に何者かが侵入し、サムは格闘の末に侵入者に押さえつけられる]

Dean: Whoa, easy, tiger. (おいおい、落ち着けよ。)

Sam: Dean? You scared the crap out of me.(ディーン?クソ漏らすほど驚いた。)

Dean: That’s because you’re out of practice. Or not. Get off me. (そりゃ訓練不足からだ。でもないな。はなせ。)

Sam: Dean, what the hell are you doing here?(ディーン、いったいここで何してる?)

Dean: Well, I was looking for a beer. (あー、ビール探してた。)

Sam: What the hell are you doing here.(いったいここで何してる?)

Dean: Okay, all right. We gotta talk. (オーケー、わかった。話しよう。)

Sam: The phone?(電話は?)

Dean: If I’d called, would you have picked up?(したとしても出なかっただろ。)

Jessica: Sam? (サム?)

Sam: Jess, hey. Dean, this is my girlfriend, Jessica. (ジェス、やあ。ディーン、彼女のジェシカ。)

Jessica: Wait. Your brother, Dean?(待って。お兄さんのディーン?)

Dean: I love the Smurfs. You know, I gotta tell you, you are completely out of my brother’s league.スマーフ大好き。あのさ、言っておくけど、弟にはもったいなすぎる。)

 

夜中にサムとジェシカの住むアパートに誰かが侵入してきます。格闘の末、侵入者に押さえつけられ、「落ち着けよ」と言われます。そこで侵入者は兄のディーンだと判明します。easyはtake it easyのことで、take it easyは命令文で「興奮するな、落ち着け」と相手をなだめるときに使います。この場合のeasyは「簡単な」ではなく「落ち着いた・リラックスした」です。反意語はuneasyで「落ち着かない」です。

 

サムはYou scared the crap out of me.と返しますが、scareは「~を怖がらせる、怖がる」で、You scared me!「あなたは私を怖がらせた→びっくりした!」のような形でよく使います。You scared me to death! で「死ぬほどびっくりした」です。さてセリフはthe crap「クソ」が目的語になっているのでYou scared the crap out of me.は直訳すると「お前はクソを驚かせて、そのクソが僕から出てきた」でしょうか。もちろん比喩的な表現で、「クソが出るほど驚いた」と解釈するのでしょう。訳自体は調べてどこかで見たのですが(どこで見たか忘れました)、「ん?けどthe crapが目的語だよなあ…」と混乱しましたが、たぶん上記の解釈でいいかと。

 

ディーンは「お前がビビってんのは訓練不足だからだ」と述べます。That’s because ~ はよく使われますね。out of ~ は「~が不足して」の意味で、out of practiceは「訓練不足で、練習不足で」、out of stockなら「在庫切れで」。そう言われたサムは技をかけ返して逆にディーンを押さえつけます。ディーンはOr not.「もしくは訓練不足でない」と言ってGet off me.「触るな、離れろ」と言います。Or not.に関しては、notが何を否定しているのかという点で、「訓練不足ではないようだな」か「訓練不足が原因でビビッているのではないようだな」かの2つの解釈候補があると思いますが、たぶん前者だと思います。

 

さてWhat the hell are you doing here?はWhat are you doing here? の強め。ところでWhat are you doing here? は「ここで何しているの?」という意味のほかに、「どうしてここにいるのか?」の意味があるそうです(『英語の仕組みと文法のからくり』)。そう考えないと次のような文の意味が分かりません(以下の説明は前述の『英語の仕組みと文法のからくり』によっています)。

 

What is this scratch doing on the table?(なんでテーブルの上に傷があるんだ?)

 

「この傷はテーブルの上で何していますか?」は意味不明ですね。また、次のギャグがギャグとして成立しなくなります。有名なギャグのようです。

 

Diner: Waiter, what is this fly doing in my soup?

Waiter: Sir, I believe it’s doing the backstroke.

 

客は「どうしてハエが私のスープの中にいるんだ?」という意味で聞いています。それに対してウェイターは、客のセリフを文字通りの現在進行形と解釈して、「お客様、ハエは背泳ぎをしているところかと。」と答えてしまうところに笑いが生じます。スパナチュのこのシーンのサムとディーンの会話も、客とウェイターの会話のようなギャグになっているのかもしれません。つまりただ単にサムが「何してるの?」と聞いてディーンがとぼけて「ビール探してた。」と答えたのではなく(すでに笑えますが)、「なんでここにいるの?」という質問をわざと「何してるの?」と解釈したうえで、さらにとぼけて「ビール探してた。」と答えたのかもしれません。ディーンにそういう言葉遊びの才があるかというと…ですが。

 

ディーンはWe gotta talk.と言います。gottaは have got toのhaveが消え、got toもgottaに短縮したもので、非常にくだけた言い方です。すでに完了形のhaveが落ちる話は出てきましたね。have gotはhaveと同じ意味ですので、結局have got toはhave toと同じ意味になります。We’ve gotta talk.のほうがまだくだけていない言い方ですね。「話をしなくちゃいけない」ということです。

 

have「~を持っている」とhave gotがなぜ(ほぼ)同じ意味かと言うと、get「~を得る」の完了形have gotは完了・結果の意味で「~を得た(その結果、今も持っている)」となるからでしょう。

 

サムは「電話があるだろ」と言いますが、If I’d called, would you have picked up?「もし電話をしてたとしても、お前はでなかっただろ?」と言われてしまいます。ここの部分は仮定法過去完了形です。If I'dの’dはhadの短縮形です。「もし(過去)~したとしても、…だっただろう」と過去の事実と異なる仮定をするときには過去完了形を使うのでした。pick upは自動詞で「電話に出る」で、他動詞でもpick up the phoneのように使います。目的語が代名詞ならpick it upになります。

 

ここでジェシカが登場してディーンと初めて会います。ディーンはジェシカの服に描かれたキャラクターを見て「スマーフ大好き。」と言います。スマーフはThe Smurfsというアニメのキャラクターのようです。パパスマーフや唯一の女性スマーフスマーフェットなど様々なスマーフがいるようです。the Smurfsはthe Smiths、the Bradysと同じく、「スマーフ一家、スマーフ一族」の意味になるでしょう。

スマーフ - Wikipedia

 

 

I gotta tell youはI have to tell youと同じで「言わなければならない→言っておきますが」という感じでしょうか。ジェシカが美人だったもので、ディーンとしては言わずにはいられない感じだと思います。ディーンの性格が出ているかと。

 

out of my brother’s league.のleagueは「(スポーツの)リーグ、同盟」の意味のほかに、「レベル、範囲」の意味もあり、out of A’s leagueで「Aの手の届かない、Aと身分が合わない」という意味です。この場合のout ofは「~の外の、~の範囲外の」。ディーンは「きみは弟の手が全く届かない」つまり「君は弟にはもったいなさすぎる」と言っています。

 

スパナチュで英語の勉強するのは役に立ちますね。

 

参照文献

井上永幸赤野一郎 () (2018)ウィズダム英和辞典』 (第4版), 三省堂.

岩田彩志 (2012)『英語の仕組みと文法のからくり 語彙・構文アプローチ』開拓社.

小林敏彦 (2017)『図解50の法則 口語英文法入門』 (再改定版), フォーイン スクリーンプレイ事業部.